宮崎プレワークショップを終えて  |ワークショップの足跡 |

宮崎から帰京いたしました。
本格的な出張ワークショップは、実は初めてだったのですが、劇場の皆さんがとても協力的で、アシスタントさんも優秀で、とにかく人と風土に恵まれて充実した3日間のワークショップを終えることができました。
今回は、いくつかのメニューを用意して、参加者の皆さんに『世界は踊る〜ちいさな経済のものがたり〜』の世界を、プレ体験していただきました。

プログラムの中で、実際のオープニングシーンを作ってみたのですが、ジュヌビリエの劇場に良い意味で近い印象の箱のサイズ、奥行き、などもあいまって、ありし日の感動がよみがえる出来栄え・・。
10月の本番への期待と確信が一気に高まったのでした。
映像でしか作品を観ることができなかった、永山ディレクターや制作の高柳さんにもオープニングシーンのプレ稽古を通して、作品の片鱗を感じていただくことができたようで、本当に嬉しかったです。

また、今回は、私にとって車椅子の俳優達との初めてのワークショップだったので、正直少し緊張していたのですが、蓋をあければ、足の使い方がちょっと違うだけ、と思えるくらいに真っ直ぐ向き合えた・・。
逆に彼らの明るさや天真爛漫さに救われた部分もありました。
本当に新鮮な感動でした。
しかも、演劇的にもアンサンブルが非常に豊かになって面白い!
これは予想以上のものでした。
彼らの中には、ひとり暮らしをし、演劇活動の他にも車椅子のサッカーチームに所属している人もいると知り、その積極性に舌を巻き、自分の生活を省みてしまったりした。
他にも、県の職員の方から、主婦、女子高生、お茶の先生まで、本当に個性豊かなメンバーと出会う事が出来ました。これは、宮崎版ならではの膨らみが楽しみ。
皆さん、埼玉のきらり☆ふじみ、静岡のSPAC、と楽しんだのち、ぜひぜひ宮崎へ。一見の価値ある舞台になること間違いありません。

永山智行さんと、色々なお話を出来たのもとても良かった。
ひとつの土地で、その土地の人々に求められて作品を作ること。
己の発信欲求以上に、街の人の期待に、待っている人々に、答えるカタチで作品を創作するということ。 永山さんのスタンスは、東京の小劇場で競合しあいながら作るスタイルとは違っているけれど、彼の作品はちゃんと豊かで確かな世界を持ち(私もファンだし)、宮崎の外からもちゃんと評価も得ているわけで・・。

東京で作品を作ることを、少し考えたりした。
プロの評論以上に溢れている、感想型レビューや、闊歩し拡大するクチコミ達。
ネット上での人気に、フツーに一喜一憂してしまう自分。
ブログで人の感想を観て、なんだか作品を観てしまったように錯覚する自分の弱さ。
どれも、見方を変えれば、豊かさといえるものかもしれないけれど・・。
情報と演劇。土地と演劇。
地続きの時間を共有することが、出会うことであり、出会って創作をする演劇というものであるのは体が知っているのに。
今回は、東京では無い街を拠点にすることや、街と創作、ということを改めて考える良いきっかけにもなりました。

永山さんには「てげてげ」という言葉も教えてもらった。
「大概に」「てきとうに」という意味だそうです。
宮崎のおおらかな風は、やっぱりちょっと南の風で、のんびりしたリズムと樹木の良い匂いをいつも運んでいた。 「もう、帰んなくていいんじゃないですか〜。」と、永山さんがふざけて言ってくれたけど、東京という世界の片隅に帰って来た。
まだ、このアスファルトの上と埃っぽい風の中でがんばらなくちゃいけないことがあるから。でも今までよりは、もう少し「てげてげ」にゆこう。
ああ、やっぱり、日本は広かった。

最後の写真は、懇親会でのひとコマ。
激うま地鶏をほおばる私と、〆の冷汁と、永山さんと、宮崎の素敵女優、あべゆうさんです。あべゆう、なぜそんなに悲しそうな顔?(笑)
なにもかもが、おいしゅうございました!

                    
WS、無事終了★  |ワークショップの足跡 |
お蔭様で、9月、10月と、連続して開催したWSが無事に終了しました。関わってくれた全ての皆様、本当にありがとうございました。WSは過去にも定期的に開催してきましたが、やはり初対面の俳優との実践はいつも新鮮です・・。参加している俳優達が変わると、毎回、雰囲気や反応も変わるため、説明の仕方やメニューも、その都度、メンバーに合わせて微調整をいれています・・。今回も、多彩な参加者との一期一会を満喫。靴の並びにも個性が溢れていました。私は、真新しい出演者を探し出す時には、一般的なオーディションではなく、できるだけワークショップを開催する事にこだわっています。俳優は、選ばれる立場に立つことが殆どですが、演出家を選ぶ立場でもある事を忘れずにいて欲しいと願うからです。WSを通して、自身の演劇観を少しでも俳優に伝える事で、演出家として俳優から選ばれるか否かの要素が加わるように思うのです。正直、緊張します。でも、できるだけ相思相愛でぶつかりあえる稽古場を作るためには、すくなくとも、現在の私には、WSが必要なプロセスだと考えているのです・・。小夏
                    
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